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10/13に日本で待望のアルバム『GOLD』を発売したCarolyn Malachi(キャロリン・マラカイ)のインタビューを敢行した。彼女の音楽人生や、祖父John Malachiについて、そしてアルバム『GOLD』制作の裏側などをしっかりと語ってくれた。

そして東アフリカの学生教育資金を援助する取り組みなど、その人となりが伝わるインタビューは要チェックだ。

 

CAROLYN MALACHI Interview

Q1.これまでの簡単な経歴も含めて、日本のソウルミュージックファンにあなた自身とあなたの音楽について紹介してください。

A1.ハロー!バンド、プロデューサー、アメリカにいるチームを代表して、「GOLD」を日本に歓迎してくれるソウルミュージックファンに感謝します。とてもエキサイティングだわ!

私達にとって音楽とは、自由よ。コンサートや音楽をかけること自体、自由への招待状だと思っているの。アルバムを制作するにあたって、自由の持つ力は不可欠だった。ジャズにクラシックヒップホップ、従来のR&B、最新のポップス、魅惑的なワールドミュージックをブレンドすることは私達にとってはごく自然なことで、それが独自のサウンドになっているの。ライブで生で演奏するように、音楽に対していつも柔軟に接しているわ。多くの人々が私達の音楽をソウルミュージックと呼ぶように、アルバム「GOLD」には間違いなく魂が宿っているわ。

物心ついた頃から、私はこれまでずっと詩、歌詞、ラップのリリックを書き留めてきたの。大学に入って音楽製作ソフトに出会うまではピアノさえあればどこでも作曲していたわ。お気に入りの場所は高校の地下室だった。その後ついに、大学在学中にいろんなミュージシャン達と出会って、初めてバンドをやってみたの。バンドの中で黒人は私一人で、その他のメンバーはみんな白人だった。それでも友人達は私達の音楽を聴きに喜んで足を運んでくれたわ。とても美しい経験だった!全くの他人同士を一つにまとめる、音楽の持つ力の一例としてこれからも忘れることはないわね。

それから自分の音楽の質を高めるために2009年にレコーディングアカデミーに入ったの。音楽業界のトッププロに学べる魔法のような体験で、素晴らしい勉強になったし私の純粋な音楽に対する情熱もより強くなったわ。

2011年に「Orion」という曲がグラミー賞最優秀アーバン/オルタナティブパフォーマンス賞にノミネートされたこともあって、新作「GOLD」とそれに伴うプロジェクトは今や世界中に認知されてきているの。音楽は国境を超えた共通言語だという私の信念を証明している出来事ね。

 

Carolyn Malachiから日本のファンへメッセージ

 

Q2.どのように作詞作曲しているか詳しく説明してくれますか。たとえば、バンドとセッションしながらですか。何に一番インスパイアされますか。

A2.プロセスはいろいろだけど私が作曲する時はピアノを使うわね。”Free Your Mind”と”All Right”のプロデューサー、Marcus MarshallとVitoは、彼らの楽曲を演奏してくれて、そこから胸にグッとくるものを探っていくし、James McKinneyと作業する時は、大抵私がアカペラで歌って、それを基に彼が肉付けをするの。Lorenzo Johnsonとやる時は勢いを大切にして一気に作りあげるんだけど、その自由で伸び伸びとしたスタイルは今まで見られなかった進化を曲に与えてくれるの。ただ作詞は間違いなくバンドと一緒にやることが一番好きよ。技術や楽器について深く追求しているミュージシャン達とコラボレートすると、必ず魔法のようなことが起こるわ。

あとはそうね……インスピレーションが降りてくるまで待ったりはしないでとにかく書くわね。作詞は、技であり、技術であり、完璧にするために訓練すべきものだと思っているの。ただどうしても書けない時は、人々からインスピレーションを受けることもあるけど。逆に気持ちがハイな時は、集中させてほしいわ。

もう一つ心がけているのは私の人生で起きていることと、人々の人生で起きていることを繋げる方法を探ることかしら。同じ人間だものね。辞書やシソーラス、グーグルを常に活用して、レファレンスの精度を確認するようにしているわ。そういったツールを使って、人々が親しみを持てるような曲を作るためにベストを尽くすの。

制作する仲間達とは充実した時間を過ごすようにしているわ。レコーディング前に、話をしたり、リラックスしたり、YouTubeで面白い動画を観たりするわ。ヴァイブはとても大切よ。一旦準備が整えば、一気に集中するわ。

 

Q3.現在住んでいる街と、そこから受ける影響などあれば少し教えてください。

A3.ワシントンD.C.で生まれ育ったんだけど、地元にはたくさんの偉大なミュージシャンがいるわ。Chuck BrownやDuke Ellington、そして私の偉大な祖父John Malachiといったようにね。彼らの素晴らしい音楽から受けた影響が混ざり合うことで、自然に独自のサウンドを生み出すことができるの。そういった伝統を守ることに誇りを持っているわ。

 

Q4.まだあなたの音楽を聴いたことがない人に対して、自身の音楽をどのように説明しますか。

A4.私の音楽は美術品のようなものよ。感情を喚起し、感動を与え、それに対する議論に熱を帯びさせるわ。幅広いスタイルを聴くことができて、”Don’t”の構成は壮大なオーケストラで、”Finally”は、タッチは軽いけど洗練されたもの。歌詞の内容は、関連性があって、ありのままで、且つ知的なの。最近知って興味深いと思ったことなんだけど、キャロリン・マラカイの音楽、特に「GOLD」に入れ込んでいる人々は、友達の間で流行を先取っている人、あるいはリーダーとして認識されている人が多いみたいね。

 

Q5.アルバムのシングルカット”All Right”について教えてください。どのようにしてできたのか、また、なぜこの曲をシングルカットに選んだのですか。

A5.“All Right”は祖父母からインスパイアされた曲なの。彼らからは偉大な愛をもらったわ。不変で無条件の愛というコンセプトは多くの人々に共鳴するんじゃないか。そう考えたの。グルーヴ感もあってソウルフルよ。私のファンはもっとラップを聴かせてくれって言ってくることもあるし、この曲ではラップも披露しているわ。

 

シングルカットされたAll Right

 

Q6.アルバム「GOLD」と、一緒に制作した人達に関して、またレコーディングにどれくらいの期間を費やしたかを教えてください。

A6.「GOLD」は自分の殻を破るための叙情詩なの。自分の世界観を広げて初めて価値のある働きができると思っているわ。だから2年以上かけて、様々なバックグラウンドを持った個性的なプロデューサー集団やミュージシャン達と制作したの。たとえば、ジャズベースの大御所Tarus Mateenは”Free Your Mind”で演奏しているわ。私自身もセルフプロデュースをしたんだけど、他にもコエグゼクティブプロデューサーのJames McKinney、Marcus Marshall、Silvio “Vito” Delis、Matthew Shell、Joe Lindsayなどがプロデューサーとして参加してくれたわ。その他にもたくさんいるわよ。ゲストアーティスト、ミュージシャンには、Chelsey Green (バイオリン)、Kevin Powe Jr. (ベース)、Hip Hop Pantsulaという名前の南アフリカのヒップホップ(Motswako)アーティスト、アメリカのヒップホップアーティストTabi Bonney、アーバンR&BアーティストのMuhsinahなどがいるわ。

女性エンジニアと一緒に仕事することも私にとっては大事なことなの。女性サウンドエンジニアは音楽産業のプロデューサー、エンジニア人口全体の5%しかいないわ。地元の大学のGRAMMY Uの生徒であるAdriana Mendezと、アルバムのマスタリングエンジニアEmily Lazarの二人と一緒に仕事ができて幸せよ。ニューヨークのLodge masteringスタジオに入って、「GOLD」のマスタリングが私が大好きなMeshell Ndegeocelloの「Comfort Woman」をマスタリングしたのと同じ女性に手がけられることを知った時はあまりの嬉しさに思わず「ワオ!!!」と叫んでしまったわ(笑)

 

Q7. バイオグラフィーにあなたのお祖父さんはジャズピアニストJohn Malachiとありますが、当初、彼のキャリの功績によるプレッシャーはありましたか。同時に、そんな有名なジャズピアニストを祖父に持つことであなた自身のキャリアにもたらしたメリットはありますか。

A7.彼はミュージシャンからも認められる偉大なミュージシャンだったわ。そんな祖父から優しさ、知恵、誠実さにおける基盤を受け継いだわ。家族は私をリーダーになるように育てたからJohn Malachiの足跡を追うのはプレッシャーだったけど、押し付けるようなことはしなかったわ。祖父と顔見知りだったり、実際に一緒に演奏したことのある熟練のミュージシャンと会ったこともあるし、祖父に師事していた生徒と会うこともしょっちゅうよ。みんなが口を揃えて言うのは、祖父は心優しい人物で、聡明な指導者でもあり、革新的なミュージシャンだったということよ。

 

Q8.“Free Your Mind”のミュージックビデオについて簡単に教えてほしいのですが、このビデオが東アフリカの学生教育資金の設立にどのようにして役立っているのかと、この運動に貢献するにあたって日本のファンは何ができますか。

A8.私は教育に対する世界的な試みに深い関心があるの。”Free Your Mind”のミュージックビデオは、The School Fund、 Carmelita Group、 Chegg and Iの協力を得て、#IAMキャンペーンのきっかけになったわ。2013年1月には、ミュージックビデオを1回再生する毎に、タンザニアとケニアの学生に1時間の教室授業を提供する試みをやってみたの。今では10000時間にまで上ったのよ! 「GOLD」が発売されて、インパクトエリアはさらに拡大しているわ。日本のファンの皆さんは、アルバム「GOLD」を買えば貢献できるようになっているわ。CD1枚が売れる度にThe School Fundに1時間の授業が寄付されて、世界中どこにいても子供達を支援することができるの。

 

Free Your Mind のミュージックビデオ

 

Q9. アルバムの中から数曲お薦めと、なぜそれを選んだのかを教えてくれますか。

A9.いろいろあるんだけどまずは“Nothing”から始めると、この曲はニューヨークのロングアイランドでの生活について歌った曲で、プロデューサーJoe Lindsayが正真正銘のニューヨークヒップホップのヴァイブを加えたわ。”Finally”はモータウンクラッシックR&Bへの追憶。“Fall Winter Spring Summer”と“All Right”はとても落ち着いた曲調ね。“Kamikaze”はスポークンワードにジャズ-フュージョンが乗ったような感じで、“Beautiful Dreamer”や“Ready for the World”、“Gold”は、今にも飛び立てるような気にさせてくれるような曲ね。

 

Beautiful Dreamer のミュージックビデオ

 

Q10.日本のアーティストを知っていたり、聴いたりはしますか。

A10.去年、私の弟がNujabesの作品を勧めてくれたわ。アルバム「Modal Soul」を1時間、いや何日も聴いていた覚えがあるわ。素晴らしい作品よ。本当に早すぎる死だわ。Yoko Kは日本のエレクトロミュージシャンでありエンジニア、且つヴォーカリストで、グラミー賞で知り合ったわ。彼女の作品は私を別次元に連れていってくれて、”Kamikaze”にも参加してくれているわ。

 

Q11. 「GOLD」がリリースされることに関してどのように感じていますか。また、これからあなたの音楽を聴く日本のソウルミュージックファンに対して何かメッセージはありますか。

A11.アルバム「GOLD」が日本で発売されるのは、私と私の仲間にとってかけがえのないことよ。音楽を通じて人々をインスパイアし、一致団結させることによって世界を変えられると信じているわ。アメリカでは、美術品に対するのと同じ感覚で、「GOLD」を聴いて楽しんで、共有して、それについて議論しているわ。日本の音楽ファンにも「GOLD」を聴いて、同じ喜びを見つけてほしいわ。