Make The Change Project

 
INTERVIEW 2015.6.4

変化を恐れずどう適応していくか アーティストが潤うシステム作りへ

小学生の頃からディグる感覚が好きで(笑)

数多のヴェニューが乱立する東京のライブミュージックシーンで確かな存在感を放つ代官山LOOP、渋谷LOOP ANNEXといったライブハウスに加え、kawara CAFÉなど全国50店舗以上のカフェ展開、さらには夏びらきMUSIC FESTIVALなどのフェスの開催まで、様々な”空間”をプロデュースするSLD ENTERTAINMENT INC. (以下SLD) 。現在急成長を続けるこのカンパニーで創業期から活躍するのが小池 仁氏だ。

DJとしても活動経験を持ち、音楽に深い造詣を持つ小池氏が音楽へ目覚め始めたのは小学校の頃。

「小学生の時は親から買い物許可リストみたいなのが暗黙の了解的に存在していたんですけど、そこでCDは許されていたのでよく買っていました。最初はJ-POPから入りましたが、その時からすでにディグる感覚が好きで(笑) 気づいたら中学入る前くらいには洋楽にハマっていましたね」

当初HIP-HOPとハードロックから聴き始めたという小池氏だが、次第にHIP-HOPやミクスチャーから派生してソウル、ファンクにも傾倒していったそう。その後渋谷のクラブシーンに触れたことを契機に自身でもDJ活動をスタートするなど、どっぷりとクラブシーンに浸かっていったという。

「当時は毎日のようにクラブ行ってましたよ(笑) ただ自分でDJやるってなるといきなりクラブはちょっとハードル高いなと思って、最初はバーみたいなとこでまわさせてもらったんです。それからは人づてでいろんなところに出て、自分でイベント組んだりもして。この頃の人とのつながりが今の仕事につながってきてますね」

こうして大学時代にはオーガナイザーとして自らイベントを手がける傍ら、目黒ブルースアレイでライブ現場での経験を積み、創業間も無いSLDでの仕事にも足を踏み入れ始めた小池氏。その後大学を卒業すると同時にSLDへ入社。当時青山で営業していたLOOPからキャリアをスタートさせ、ライブという現場を通して音楽シーンを見つめ続けてきた小池氏にとって、今の音楽シーンはどのように見えているのだろうか。

小池 仁 - SLD ENTERTAINMENT INC.

変化を恐れずどう適応していくかを考える方が自然なこと

「僕がライブハウス始める以前はバンドブームで、ライブハウスがアーティストを選ぶような時代だったんです。だからライブハウスのブッカーは『俺たちが育ててやる』っていう気概を持って接しているところが多かったですね。でも僕らはどちらかというとクラブあがりってこともあって『一緒に成長していこう』っていうスタンスだったんです。それが最近ではライブハウス側も僕らと似たような姿勢のところが増えてきていて、これがライブハウスの現場でここ10年で一番変わったことです」

ライブハウスの現場の変化の中に身を置いてきた小池氏は音楽業界全体の変化についてもこう語った。

「最近では音楽業界に昔からいる人はネガティブなことを言う人が多いですね。なにごとも変化していくのが当然で、ビデオテープがDVDに変わり、レコードがCDに変わったように、CDが使われなくなるのも当たり前のことです。状況が変化していく中で、その変化に抗うのではなくてどう対応していくかを考える方が自然ですよね。過去に成功した人はその成功体験を手放すのが怖くなってしまっているだけだと思います」

iTunesや Spotifyの出現による音楽のデジタル化にストリーミングの普及、そしてハイレゾ音源の台頭、アナログ盤の復権などめまぐるしく変化を続ける音楽業界。その変化を恐れず適応して次世代のスタンダードを築くことは過渡期にある今こそ必要だと言えるだろう。

それでは次世代のスタンダードを築くためにできること、やるべきことは一体何なのだろうか。

「正直、SLDがやっていることが強烈なインパクトになってシーンが変わっていくようなことはないと思います。あくまでもアーティストが中心にいて彼らが主体となって変わっていくべきだし、そうなるはずです。そこで僕らができることはアーティストたちの創造性を引き出すきっかけや機会をなるべく多く作ることじゃないですかね」

そう語る小池氏は、既にライブハウスという場所を起点にした「きっかけ」作りを積極的に行っている。

小池 仁 - SLD ENTERTAINMENT INC.

アーティストが着実にステップアップできるシステムを作りたい

「ライブハウスという場所を持つからには、生の体験をできるだけ多く与える責任があると思っています。僕たちがブッキングするアーティストがやっている音楽は決して入門向けではないものが多いですが、ライブを見れば響く音楽だと思います。だから若いアーティストたちには積極的にライブにゲストで入れて見てもらえるようにしています。そこからはアーティスト次第ですが、もしかしたらその経験が鍵になって物凄いアーティストに成長していく可能性はあると思うんです」

若いアーティストの創造性を刺激する経験を与えること。そしてそのアーティストが次の世代のアーティストたちの創造性を刺激するような存在へと成長していくこと。つまり持続可能な成長の場とシステム=「系」を構築することが重要だという。

「ずっと目指しているのはアーティストがやりやすくてしかも潤うような場所を提供したいなっていうことなんです。まずはイイものを持ってLOOPに出れば確実に伝わるよっていう環境を整備する。それに加えて、音源制作、プロモーションなども含めてアーティストとしてステップアップしていけるようなシステムを作りたいですね。もちろん僕らだけで全部できるとは思っていませんが、LOOPには色んな業界の人も来ているので、アーティストとそういった人たちを繋ぐ窓口になれたらと思っています」

鳥肌が立つ瞬間を感じられるようなライブをできるだけ多くしたいとも語るように、ピュアに音楽を愛する小池氏に最後に『Rising』の印象を伺った。

「『Rising』は聞けば聞くほど細部にかかっている労力がわかるような作品で、よくぞやってくれたという感じです(笑) しかも『The Light』と比べて何かを妥協することもなくより幅広いリスナーが好むような作品になっていますね。これからにも期待していますよ」

RECOMMEND

Nao Yoshioka 「Rising」を聞いて連想した音楽を紹介

  • Tess Henley – High Heels & Sneakers Nao Yoshiokaと同じく、新世代を代表する歌姫。 出会いはアナログからでしたが、最初に聞いた時の衝撃もNaoちゃんと通じるものがあります。 いつか、二人が共演するイベントを企画したいです。
  • Jocelyn Brown -Somebody Else's Guy Nao Yoshiokaの歌声のインパクト、パワーはいつもJocelyn Brownを連想します。 自身の楽曲のみならず、様々なアーティストにもフィーチャリングされているJocelynですが、 名曲製造機として、Naoちゃんにもそんな活躍を期待します。
  • Lalah Hathaway -Self Portrait 今回の『RISING』の中でも、「Awake」や「Turning」を聞いた時に感じる心地よいグルーブは、 このアルバムの1曲目「Let Go」を連想しました。 LalahとNaoちゃんの共演も是非見てみたいですね。

PROFILE

小池 仁SLD ENTERTAINMENT INC.

代官山LOOP、渋谷LOOP ANNEXといったライブハウスに加え、kawara CAFÉなど全国50店舗以上のカフェ展開、さらには夏びらきMUSIC FESTIVALなどのフェスの開催まで、様々な”空間”をプロデュースするSLD ENTERTAINMENT INC. で創業期から現在に至るまで活躍。自身でもDJとしての活動経歴も持つなど、音楽に深い造詣を持つことでも知られている。

INFO

NAO YOSHIOKA OFFICIAL SITE RISING SPECIAL PAGE