Make The Change Project

 
INTERVIEW 2015.5.3

世界水準の音を届けるという使命 生活に密接に根付いた音楽を

僕らがいいものを選ぶってことは
他のお店にいいものを発信していくこと

「やっぱり音楽が好きなんですよね。今でも新譜の発売日は楽しみです」

日々多くの音楽ラバーが集まるTOWER RECORDS新宿店の敏腕バイヤー河田氏は、音楽を仕事にする理由をこのように語る。

とりわけTOWER RECORDSの中でも最大の規模を誇る新宿店には、入社当時からスタッフにも音楽ラバーが多かったという。当時のエピソードを語ってくれた。

「僕が最初に配属されたのはROCKフロア。入社するまでほとんどSOUL/R&Bしか聞いてこなかった僕にとっては ”Radioheadってなに?” 状態で(笑) でも周りには音楽マニアのスタッフがいて、 ”SOULが好きならこれ聞いてみなよ” っていろいろオススメしてくれるんですよ。そうこうしているうちに段々とROCKも聞けるようになっていって、今ではSOULをROCK方面で売るにはどうするかを考えるいい判断材料になっていますね」

こうしてジャンルを越えて好きな音をシェア出来る音楽の醍醐味を、働きながらに自然と感じた河田氏は今の仕事に強い使命を感じているそう。

「”売れるものを置く”んじゃなくて、”いいものを売る”。これがこの仕事の面白さでもあって、なおかつ大型店の新宿だからこそ出来る部分だと思います。もっと踏み込むと、僕らがいいものを選ぶってことは他のお店にいいものを発信していくことでもあると思っています」

フラッグシップ店のバイヤーとしてのプライドと音楽を愛する気持ちが強く表れた瞬間だった。CDの売上枚数の減少に伴って、洋楽をまともに買える場所が少しずつ減少していくなかで、新宿に行けば面白いものに出会えるという状態を作り続けること。これが「いい洋楽を広めたい」と願う河田氏がたどり着いた一つの答えなのだ。
 
河田 良介 - TOWER RECORDS新宿店
 

音楽を聞くときは常に世界水準の耳で聞く

そんな河田氏が洋楽にこだわるのには理由がある。

「そもそもタワレコって洋楽売ってるとこでしょ、っていう認識なんですよね。今でこそJ-POPフロアが大きくなりましたけど、もともとは洋楽のお店だからっていう意識が強い」

そして、こう続けた。

「洋楽、邦楽問わず、音楽を聞くときは常に世界水準の耳で聞くようにっていうのは他のスタッフにも言っているんですよ。例えば日本である邦楽作品が1000枚売れて、ある洋楽作品は50枚しか売れなかったとしても、世界中で支持されるのは後者かもしれない。音楽を発信する立場として世界水準に立った時にどう聞こえるかというのは大切にしなくてはいけないと思います」

音楽は世界共通。それ故に、世界中の音楽をリスナー達へ届けるバイヤーは常に世界水準の耳で音楽を聞くべきという意志が河田氏の中で確固たるものとして存在している。

また、日本の音楽シーンが抱える問題点をこう語った。

「今の日本のアーティストは洋楽を聞かなくなってきています。そして店舗でもやっぱり日本で売れるのは邦楽なので、邦楽重視になってしまう傾向はあります。でも洋楽がダメになったら邦楽もダメになりますよ。世界水準の音楽をわかった上でやっていかないと音楽を発信する側も受ける側も質は向上していかなくなってしまうと思います」

“洋楽=日本以外の音楽”ではなく、”洋楽=世界の音楽”と捉える。世界水準の音楽を広め、受け入れることで音楽シーンがより豊かに成熟していく。邦楽、洋楽の境が自然となくなり、あらゆる音楽が世界共通の”音楽”として受け入れられる土壌が理想なのかもしれない。
 
河田 良介 - TOWER RECORDS新宿店
 

生活に密接した形で音楽が存在していって欲しい

そしてそんな土壌を作る第一歩として必要だと河田氏が考えるものは意外にも「ながら聞き」だという。

「Youtubeとかでいつでも音楽を聴けるようになったものの、それだとどうしても聴きたいものだけを聴きたい時だけ聴くっていうことになりがちですよね。これはこれで大切なんですが、どうしても生活に馴染んでこないなぁと感じていて。何かをしながら音楽を聴く、なんとなく音楽が側にある。そんな生活に密接した形で音楽が存在していって欲しいなと思います」

地域によって言語や文化が異なるように、音楽もその場所、その時代の影響を受けて様々な成長を遂げてきた。技術の進歩や生活様式の変化はあれど、生活の一部として音楽は存在し続ける。生活に密接した形で音楽があり続けることは、音楽が豊かに成長を続けるための普遍的に必要な要素なのかもしれない。

また、そのためにパッケージがこれから果たすべき役割も感じているそう。iTunesやYoutubeの登場により、曲単位で評価される傾向が強まった今のシーンだからこそ、1つの作品としてのパッケージを感じて欲しいという。

「アルバムはそのトラックリストにもアーティストの想いが込められていて、更にパッケージにはアートワークも加わって、それ自体が1つの作品として存在しています。生活に密接した形で音楽に触れていると、このアーティストのことをもっと知りたい、と思うことも増えてくるはずです。そんな時にはアーティストの想いが詰まったパッケージが一番彼らのことを教えてくれると思います」

あくまでもアーティストのことを第一に考える河田氏らしい言葉だった。そんな河田氏からMake the Change Projectへの思いを最後に伺った。

「今まで一貫してやってきたことがNao Yoshiokaというスターを通して花開く時だと思います。彼女がシーンを変える鍵だと思っている人は結構いるので。でも、彼女は主役ではあるけどもMake the Change Projectの一部でもある。彼女一人ではなくて世界中のアーティストがこのプロジェクトのメンバーとしているということをしっかりと打ち出し続けることが大切だと思います。今後に期待ですね。」

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Nao Yoshioka 「Rising」を聞いて連想した音楽を紹介

  • ARETHA FRANKLIN / Young, Gifted And Black ご存じ「Rinsing」でもカヴァーされている「Rock Steady」収録、アレサの名作。 正直NAOさんのカヴァーには驚かされました!なので、ぜひ本家も聴いて頂けるとNAOさんの「スピリット」がより伝わると思います。
  • Marvin Gaye / Tammi Terrell / You' re All I Need この2作品はNAOさんが参加しているBrian Owens / You' re All I Need をじっくり味わってから聴いて頂きたい作品です。 ブライアンとNAOさんのデュエットはマーヴィン&テレルそのものではと耳を疑うほど!時代、国境を超えてソウル・ミュージックがシンクロすることを確認できます。
  • Marvin Gaye / Tammi Terrell / United  
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  • Tess Henley / Easy To Love シアトルのシンガーソングライターによる2010年のデビュー作。ソウルフルな歌声をみせる作品の中でも、ポップで親しみやすく聴かせるグルーヴを持ち、ジャンルを超えて愛される作品というところに NAOさんに通じるところを感じるシンガー。セカンドのHigh Heels & Sneakersも素晴らしい!

PROFILE

河田 良介TOWER RECORDS新宿店

日本最大級のCDショップとして君臨するTOWER RECORDS新宿店の洋楽フロアマネージャー。SWEET SOUL RECORDS発足当時から大々的にプッシュし初のレーベル単独コーナーを開設するなど、SSRにとっても欠かせない存在。自身の耳を頼りに音楽愛に溢れたセレクトを行う。

INFO

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